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Project Story 04 令和元年度19号 丸ノ内地区舗装修繕工事

尾張小牧営業所 工事課 工事長(当時) 中日本支店 工事課 担当課長(現在)

尾張小牧営業所 工事課 工事長(当時) 中日本支店 工事課 担当課長(現在)

大学の土木工学科を卒業し、2000年に入社。2002年以降、多くの現場で優良工事表彰、優良技術者表彰を受ける。「困難な現場であればあるほど、燃えます!もう普通の現場では満足できない体かもしれません(笑)」。

最後に残されたアスファルト舗装を、念願のコンクリート舗装へ

ほぼすべての道路がコンクリート舗装されている名古屋国道事務所管轄内で、このエリアは最後に残されたアスファルト舗装でした。交通量が多いため、アスファルトだと頻繁に補修が求められる。ここをコンクリート舗装にすることは、名古屋国道事務所の強い希望でした。ではなぜ今まで着手されていなかったのかと言うと、それはひとえに「とてつもなく大変な工事になると予想されるから」です。

まず、交通量が多い。名古屋エリアの要となる交差点で、自動車はもちろんトラックを始めとする特殊車両が頻繁に通行します。そして終日車線規制は1車線以内、夜間工事で即日復旧し、朝には開放する必要がある。難しい工事になることは、容易に想像がつきます。そのため今まで複数回行われた入札も、すべて不調に終わっていました。今回入札に参加したのは、は当社を含めてたった2社。

受注が決まった際は、国土交通省中部地方整備局の局長から「ありがとう、これで最後のコンクリート舗装がつながる」と感謝の言葉をいただいたくらい、始まる前から大変な工事になることは予想されていました。

歩道橋に張られた「交差点がコンクリート舗装に生まれ変わります」の横断幕

歩道橋に張られた
「交差点がコンクリート舗装に生まれ変わります」の横断幕

初めてのプレキャストPC舗装と広報計画の立案

工事の大部分は、プレキャストPC舗装版で行われました。これはコンクリート部材をあらかじめ工場で製造することで現場での作業時間を短縮する工法です。当社はこの工法での実績はあまり多くなく、中部地方では約20年前に行われたのが最後でした。当然、私も入社以来初の経験。今回は着工前の約半年間は準備工が行われましたが、そこではプレキャスト製品の構造変更に伴う強度検査や構造計算、工場での製造管理、限られたヤードにおける施工方法など、様々な準備が必要でした。それを最初の4ヶ月間は一人でやっていたので、大変という言葉だけでは言い尽くせない苦労がありました。

プレキャスト製品を仮置きし、設置する

プレキャスト製品を仮置きし、設置する

また、工事期間は約14ヶ月で、そのうち200日程度は夜間の車線規制を行い、内6ヶ月程度は終日規制を行う必要がありました。ここはバスの通行区間でもあるので、日々異なる車線規制図を作成し、各バス会社に説明のために足を運びました。また車線規制については、愛知県警の許可が必要です。「規制をするなら1車線まで、2車線以上する場合はテレビなどの広報活動で周知しなければならない」と言われ……。それも、私にとっては初めての経験でした。テレビCMと工事期間延長を比較し、工事期間を延長したほうがコストに見合うと判断したためテレビCMは行いませんでしたが、大規模工事には想定していない業務が発生することを学びました。

タクシーや自転車に悩まされ、移送業者との調整も課題に

いざ着工してからも、トラブルは日々起こります。ここは名古屋市の交通の要所で、終電時間近くになるとタクシーの往来が激しく、運転手の方からはかなりお叱りの声をいただきました。しかし3ヶ月もすると、工事が周知されて迂回路を選ばれるのか、徐々に苦情は減っていきました。

また、自転車ユーザーにも悩まされました。特に配達員の方は急いでいるので、警備員がいてもすり抜けて行こうとする方が多い。事故防止のため、最終的には日当たり最大14人で延べ2,600人もの警備員を配置することになりました。

そしてこの道は名古屋港に続いているのですが、船で荷揚げされた戦闘機の部品(幅5.5m)や列車(長さ25m)などを運搬する超大型車も通行します。移送業者と打ち合わせをしてこちらの重機をどかす時間帯を作るなど、調整が必要でした。

大型車が通行する場合は重機を移動させる必要がある

大型車が通行する場合は重機を移動させる必要がある

騒音対策と即日開放のためにコストをかける

このあたりにはホテルなどの施設もあるので、騒音対策として、今回は既設アスファルト舗装版の取り壊しに、油圧式の静的破砕アタッチメント(ロードタイロン)を使用しました。コスト的には従来の3倍ほどかかりますが、ほとんど騒音が発生しないため地元からの苦情は1件もありませんでした。

また、作業工程上どうしても2車線規制が必要な箇所が発生したのですが、回避策として超速硬コンクリートを使用することで、即日開放できるようにしました。この超速硬コンクリートは、通常のコンクリートの10倍のコストがかかります。

工期の延長や警備員の増員、静的破砕アタッチメントや超速硬コンクリートの使用などコストはどんどん膨れ上がり、最終的な工事費は当初予算の2倍に。当然、各所の調整が必要になるのですが、念願の工事をなんとか実現しようと、多くの関係部署が奔走し、無事完成を迎えることができました。

無事故で14ヶ月の工事を終了し感慨無量

この地区は、何もなくても年に数件の交通事故が発生するエリアです。しかし当社の工事中は、1件の事故もなかった。厳重な警備と工事計画、そして近隣住民や関係者の協力があってこその成果だと思います。

この工事は全国ニュースにも取り上げられるほど話題になり、「あの工事をやっていたんですか!」と同業者から一目置かれるようになりました。大変な現場でしたが、その分工事に関わった若手社員の成長は目覚しく、人材育成の面でも価値ある工事でした。

コンクリート舗装に生まれ変わった交差点

コンクリート舗装に生まれ変わった交差点

レースよりも「足元」に注目

この地区は、名古屋ウィメンズマラソンのコースになっています。テレビ放映されるので、レースの状況よりも、つい選手の足元を見て道路の状況をチェックしてしまいますね。